世界と世界の境界にできるほころびを繕うつくろい屋の青年レムと機械人形の少女ククルの旅の物語。
1話完結形式・西欧風ファンタジーな世界観。最初の話は、ある森の噂と周囲の村の住人にまつわる話。主人公の青年の仕事の内容と後に青年と行動を共にする少女ククルとの出会いが語られ、以後2人が旅先で出会った人たちとの話、青年の仕事にからんだ事件が綴られていきます。
どこか教訓や哲学を含めた寓話のような内容。ハッピーエンドでもなくかといって後味が悪いラストでもない、せつなく印象に残る話が多いですね。型どおりでないエピソードの構成とリアルな心情描写が特徴かな。
エピソードは謎めいた雰囲気ではじまり、謎解きと種明かしのようなおわりかたで、前知識なしで読んだほうが味わい深い内容だと思います。完全なミステリじゃないのですがそれっぽいというか・・。説明が不得手ですみません;
ちょっとネタばれしてしまうと、この物語の世界では、世界と世界の境界にほころびができることがあり、青年はそのほころびを繕う「つくろい屋」という設定。ほころびに囚われた人たちの不具合を修正する場合もある模様。つくろい屋の規律は存在するものの各々のモラルにゆだねるという設定が個人的に印象深かったです。
空気のように浸透する人間描写がお勧めのタイトル。
前田とも
あわいの森 / まどいの扉
シルフコミックス各全2巻 / アスキー・メディアワークス
ジャンル:少女・ファンタジー・ドラマ / 好み度:★★★★☆