死を選んだ少年エイタと、人々から悪魔と呼ばれる谷の住人ロノウェルの物語。
エイタは小人族に拾われた人間だったが集落で養父母を含めた多くの人が死に自分の存在を害悪として死を選び谷におちて絶命。しかし通りかかった谷の住人ノロウェルの指が寄生したことによりエイタは復活し、ノロウェルと一定以上離れると体が動かなくなるため2人は共に住むことになる。
ノロウェルは、エイタは周りが不幸になるため死にたいと思うと同時に強く生きたいと望んだため指が寄生したのだと言う。
自分の周りの世界では異端の姿ゆえに忌み嫌われ存在自体を否定された2人ですが、自分たちに優しくなかった人間を憎めない共通点があります。ノロウェルとエイタとの出会い、ノロウェルを生かした彼の友達、体の一部を無機物に同化させて動かせるノロウェルの能力を命を復活させる能力と解釈し来訪する客人を通して「生きること」をテーマにしたファンタジー人間ドラマ。
やるせない切ない展開ながら静かに心に染みる物語。絶望しても生きようとするのが命というもの。
画面構成がまとまっていて読みやすくオチもいい感じでした。1巻完結なので長編読むのが苦手な人にもお勧め。
央己あゆり
眠れぬ夜の奇妙な話コミックス全1巻 / 朝日新聞社ソノラマコミックス
ジャンル:ファンタジー・ドラマ / 好み度:★★★☆☆