子供が苦手な翻訳家の女性と、夏休みで帰省した少年の出会いの物語と、８０年ぶりにやってくる彗星をめぐる思い出の物語の２シリーズを収録したセンシティブストーリー。
翻訳家として生計を立てる女性は、ひょんなことから見知らぬ少年になつかれてしまう。こどもが苦手な女性はとまどいつつも徐々に交流を深めていくという展開。女性側の視点、少年の視点、少年の母親の視点と、実はこうでしたというオチも含めたほんわかでちょっぴりせつないお話。
もう１つは彗星をめぐるお話。家族が身内の家に出かけ一人留守番をすることになった主婦。ひょんなことから昔恋人と同棲していた場所に迷い込み昔を回想する。
どちらも、日々を忙しくすごす女性が、ふとしたきっかけで忘れかけていた過去の出来事を思い出すことになるという話かな。過去の事柄が現在における恋愛模様にからむという話ではなく、時を経た現在、当時とは違う心情で当時のことを想うという内容。人と人とのつながり、過去と現在のつながり、を実感する話でもあるのか。
恋愛ドラマになりそうなシチュエーションなのにそうならない展開が新鮮。どこか文学的な描写ながら、リアリティのある内容でもあるなあと感じました。
谷川史子
クイーンズコミックス全１巻 / 集英社
ジャンル：ヤングレディース・ドラマ / 好み度：★★★☆☆