コンピュータのエキスパートの4歳の少女靖子(やっこちゃん)と彼女の叔父の健一が出会った妖怪との物語。表題作2作の他「霧の紋章」「お嬢さまはただものではない」「お嬢さまは紳士がお好き」も収録。
どちらかというとコメディ調なノリですが、根っこはかなりせつないシリアス。いわゆる妖怪と人間の悲恋ものですね。キャラが立っているので物語のテンポもよくさくさくっと読めます。作者のCLAMP時代(聖りいざ)を知る人ならやっこちゃんというキャラにニヤリとするでしょう。絵柄は聖りいざから伊庭竹緒に変わる途中経過という感じです。
同時収録の「霧の紋章」は1920年代のロンドンを舞台にしたミステリーサスペンス。収録作品の中ではこれが一番伊庭さんらしい作品といえます。シリーズの続編もあるようです。
お嬢さまはただものではない/お嬢さまは紳士がお好きは、CLAMP時代の作品なので絵柄もかなり違います。ストーリー展開もCLAMP色が濃いですね。それなりに面白いけれど時代を感じます。
それにしてもフリートークのいたるところに見ないでと書かれてあったのはいかがなものか。初期作品で恥ずかしいという気持ちはわかるのですが......。
伊庭竹緒
プリンセスコミックス全1巻/秋田書店
ジャンル:少女・オカルトコメディ / 好み度:★★★★☆
収録作品:霧の紋章・お嬢さまはただものではない・お嬢さまは紳士がお好き