浮世離れした気質の作家・相川と彼の書生である健太郎と椿。健太郎は禁じられた先生の書斎にはいり「鐘時」という恋人との情事を綴った日記を発見、また椿は先生に抱かれていることを知る。盗み見た先生の日記には「鐘時と一月後に心中する」とあり・・・。
一見穏やかで飄々としているものの過去に心の傷を持つ作家の先生と、彼の書生２人の物語。書生健太郎は同じ書生の椿に好意を寄せていたが椿にはよい印象をもたれていないよう。そんな中、健太郎は先生の秘密の日記を覗き見、椿と作家の情事を目の当たりにし、作家がその日記のとおりに行動していることを知る。「鐘時」とは椿なのか、心中は実行されるのかまたそれを阻止することができるのかといった展開。
恋愛や人間に関してこれでもかと掘り下げて純粋に想うキャラの行動や考え方などが、実在する純文学の風情がよく出ていて引き込まれます。アニメ調な絵柄ですが情景描写は雰囲気があり得も言われぬ魅力が。
主人公であり語り手である健太郎の視点から物語は綴られます。結局彼の恋はかなわず恋愛ものという観点からは蚊帳の外っぽい印象を受けますが、彼が動くことで物語は幸せな結果となったわけで物語の重要な位置にいるという感じ。
恋愛方面から見ると一種の三角関係だったのかなあ。
物語としては秀逸だと想うのですが個人的BL嗜好からするとちょっともにょる内容。主人公至上主義なもんで；主人公が恋愛関係と無縁なら良かったんですがねー。せつなすぎる。
はる桜菜
ビーズラビーコミックス全１巻 / エンターブレイン
ジャンル：ボーイズラブ / 好み度：★★★☆☆