暗殺者として育てられた名無しを意味するアノニマスと呼ばれる少年少女たちの物語を綴ったオム二パス作品集。
大正か昭和初期あたり、日本に軍隊があるころの時代がモチーフになっているようです。世界観は同じで、1話完結形式。アノニマスと呼ばれる暗殺専門の工作員の少年少女が主人公の物語。
カムイみたいな掟にしばられた忍者シリアスドラマみたいな構成だなというのが第一印象でした。悲しくせつなくやるせない話が多めですが、シリアスばかりでない心がほっこりする話もあります。
静かで淡々と綴られる彼らの物語はどこか清涼感がありなめらかな印象を受けます。台詞まわしにもある種の美しさを感じました。
名無しということは個を与えられなかったということ。それでも1個の人間であろうとする者、出会いによって人間らしさととりもどす者、片割れを自由にしようとする者、さまざまなドラマが展開されています。
コミカルな雰囲気の話は、怪我により現役を引退、名有りの見習いの育成係になった青年と名有りの生徒たちの話。名有りの少年たちは名無しと違いそこらの少年と変わらない気質なためか、人間味がある話でした。
物語の性質上、戦闘アクションが多めですが癖が強いなと思いました。個人的には好みだったのですが、見る人によっては状況がわかりづらいかも。
今村陽子
シルフコミックス全1巻 / アスキーメディアワークス
ジャンル:ドラマ・少女 / 好み度:★★★★☆