広島の山の中にある鉄工所に勤務する溶接工の面々の仕事風景やプライベートな日常を描いた溶接漫画。
著者が元溶接工ということで、溶接に関するさまざまな知識や技術の内容や溶接工の現状と現実が、如実にそしてコミカルに日常エピソードの中に組み込まれて描かれています。
一昔でいうところの3Kなネタが多く大変だなと感じるエピソードは多いものの、悲壮感は少なく全体的にほのぼので、著者は溶接が大好きなんだなあと感じられる雰囲気。薀蓄解説も図解の手法がうまいのか丁寧でわかりやすいです。
溶接工の仕事風景以外では彼らをフォローする妻や娘といった家族のエピソード、社員旅行などの話もあります。
結婚するには定職を、そしてクリエイティブな仕事を希望した結果溶接工になった新婚の夫とその妻が一応の主人公ですがほかの面々の話もまんべんなく描かれています。
営業に回る寡黙な社長は、一応社員思いだろうとは思うのですがそのベクトルは社員にはちょっと迷惑。まあ仕事がないよりはましなんだろうけど。基本的に悪い人じゃないと思います。
大変疲れる仕事だけど手に職を持つ人ってのはやはり輝いていると思う次第。ページ数は多くないのにかなり読み応えがあるお勧めタイトル。人気があるのもうなずけます。
この漫画をずっと読んでいると広島弁がうつりそうな。関西モノなのでところどころ共通してるしな~(笑)
野村宗弘
イブニングKC全10巻 / 講談社
ジャンル:青年・業界 / 好み度:★★★★★おすすめ
余談ですが、鉄工の会社は登記簿などの書面に書く会社の公式な表記を「鐵工所」としているところが割とあるそうです。鉄の字は「金を失う」と書くので縁起が悪いという理由だからとか。
・・・って連載中の感想に書いていたら作中のトリビア回で出てきたw