ベトナム戦争時下のベトナム。日系三世のアメリカ人の従軍カメラマンの少年は、アメリカ兵を殺す俊敏な少女に恋をする。
ベトナム戦争真っ只中のベトナムという、人道と真逆の状況下。戦争に意義を持たないアメリカ兵と生き抜くために戦うベトナム人。疲弊と狂気と理不尽が連鎖する中で、確固たるもののない主人公の視点で描かれる現実と、アメリカ兵を鮮烈に切り舞う少女という非現実的な要素が融合した物語。
愛らしい絵本のような絵柄がオブラートの役目をこなしているとはいえ、内容はフィルターなしの直球、戦争の現実を実直に描かれています。常軌を逸した状況や人間の中に平凡な気質の主人公を据えることでコントラストが強調されているような。ある種、韻を踏んだような演出が印象的でした。
感情的でなく淡々と描かれる戦争の話。殺伐とした内容ですが多くの人が読むといいなと思うタイトル。1巻巻末にはわかりやすいベトナム戦争の説明があります。
西島大介
ディエンビエンフー / アクションコミックス6巻 / 双葉社
ディエンビエンフーTRUE END / アクションコミックス3巻 / 双葉社
ディエンビエンフー0 / KADOKAWA全1巻
ジャンル:青年・戦争 / 好み度:★★★★☆