同名小説の漫画化作品。家庭環境からか無難に過ごすことをモットーとした神庭幸宏は、階段を全速力で疾走する少女九重ゆうこと出会い、彼らの主催する「階段部」に入ることになるが・・。
舞台は自由な校風を旨とするマンモス学園。階段部とは広大な施設内を縦横無尽に疾走することを目的とする。ぶっちゃけ生徒や教師からは迷惑集団の烙印を押されている部。
部の主旨を語るリーダーの少女の独特の理論展開と少女らしい無茶っぷりにびっくりするけれど思わず拍手してしまう淀みのない主張がツボでした。無難に過ごすというモットーを持っていた主人公が、破天荒で周囲に理解されていない怪談部に入るという展開が肝の１つか。
階段部と生徒会、各々の生徒たちの心情と事情、主人公の従姉たちとのエピソードなどを中心に学園ドラマが綴られていく模様。
階段を駆け抜けるという、一般では禁止されている行動を貫きたいがゆえに周囲からの軋轢にも耐え、走ること以外では優等生ともいえる行動をするという設定も印象的でした。
生徒の自主性を重んじる校風ということで生徒たちによる自治がなされている状態。学校という舞台ですが現実の自治体・国とかにも通じるものがあるような展開もちらほら。周囲に理解されにくい事を趣味または信条とする者たちに対し、害悪とみなし権力を持つ側が排斥しようとする構図・・・ってのは現実にもけっこうある話を思い出すなあ。
原作が発表されてからかなり後になってのコミカライズだそうで原作者もびっくりだというようなコメントが。けっこう時事的には当たりのような気がしますが。
原作：櫂末高彰 / 漫画：芳井アキ / キャラクター原案：甘福あまね
ファミ通クリアコミックス全４巻 / エンターブレイン
ジャンル：少年・学園 / 好み度：★★★☆☆