主人公は40歳男性。離婚歴あり、実父と一人娘と同居。15年勤めた会社をふっと辞め、家でだらだらと過ごす毎日。ちなみにやめたのは病気でも環境でもなくただなんとなく、らしい。自分探しといいつつ迷走する様に、父親は怒り、一人娘はあきれ顔。
そんな暮らしの中、ふっと漫画家になると決めるが、思い付きだけでは上手くかけるはずもなく・・といいつつある出来事から作品を描き上げ、とりあえず賞にひっかかる、というはじまり。
若者の多い職場でアルバイトをしつつ漫画家を目指す話ではあるのだけど、向上意欲から空回り続けるでなく、生活に追い立てられて環境に理不尽な怒りを向けるわけでなく、ごく普通の生活を過ごし、爽やかでない凪のような風情。主人公当人としては、彼なりに努力しじたばたしているんだろうけどどこか達観しているというか飄々としているというか、憤りとか努力とかいろんな方面で自分の許容範囲ギリギリで動いているような。そのために似たタイプの話に比べて読み進めづらい鬱陶しさがないのかなと思いました。主人公というキャラをなくなんとなく温かい目で見てしまうのはどういう感情からか。共感ともちょっと違うような気もするけど・・うーん。
1回目の娘と意外な場所でばったり出会ったエピソードがある意味一番強烈だったかも。娘さんの落ち着いたキャラがまた主人公のキャラといい混ざり具合。やっぱり親子、ということ?
青野春秋
IKKIコミックス全5巻 / 小学館
ジャンル:青年・コメディドラマ / 好み度:★★★☆☆