王都妖奇譚 岩崎陽子

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時は平安。稀代の天才と謳われる陰陽師・安倍晴明。自分の力の強さを持て余し、強い力を持ちながら全ての人を救いきれない無力さを常に感じていた彼が、貴族の藤原将之と出会うことから物語は始まります。
何もかもが正反対の将之が無二の親友となっていく過程、また近い気質を持ちながら考えの違いから離反してしまった影連との決着、清明の自分の力の行く末の模索が主な見所です。
これが私の初めて見た安倍晴明なので私の安倍晴明像はこの漫画が元になっています。他作品の清明像は中性的な感情の起伏が乏しいというイメージが多いのですがこの漫画の清明はとっても人間くさいです。(岩崎先生もトークで書かれていましたが)自分の力に悩んだり、人間関係に迷ったり......。それ故に清明というキャラに親近感が持て、物語に移入しやすい作りになっていると言えます。主人公の清明のみならず将之や影連をはじめとする主要登場人物の個性が強く、また各々の人物の感情や考え方や過去等も丁寧に描かれているので物語の人間描写に深みが出ています。特に清明、将之、影連の関係は見ごたえ有り。

岩崎陽子
プリンセスコミックス全12巻/秋田文庫全7巻/秋田書店
ジャンル:オカルト・少女・歴史 / 好み度:★★★★★