天山山脈には長い金髪を持つ10人の神々がいるという。神とシルクロードに住む人々の物語。
10人の神々の欠けた一人の血族が神々の元に戻るエピソードからはじまり、神々の由来や、戦争後の来世の話といった本筋の流れのほかに、神と人間の交流などが描かれています。 この作品での神は、はじめのうちは神々しい雰囲気というか悟っている印象が強いキャラクターでしたが後々の人間との交流を描いたエピソードではかなり人間味あふれる描写が多くなっています。ネタバレしてしまうと、彼らは神と呼べるほどの超常能力を持っていますが、その誕生のカテゴリは人間に属するので後者も納得がいくのですが。
かなり長い間描かれていたシリーズもので、そのエピソードの内容も実に様々です。中央アジア(シルクロード)の造詣が深く、知識量も豊富で、既存の考古学系の事件や実在する遺跡を上手くストーリーに絡めていてかなり読み応えがあります。また、繊細な絵柄は神秘性・メッセージ性の高い主題とマッチしています。本筋もそうですが、傍流の神と人のふれあいのエピソードはかなり考えさせられることしばしば。人間が持つ偏見、業、欲、そして誇りといたわりといったものが等身大に描かれています。
10人の神々が主役の本筋のほかに、番外的位置関係の、人の精気を糧にしないと生きられない、ゾマ神から生み出された女性を巡るシリーズ、カレーズをよりどころとするオッドアイで口が利けない少女のシリーズとかもあります。これらシリーズに登場するキャラは本筋でも登場します。
花とゆめコミックスで発表されていましたが後に角川から再編集されました。角川版ではたぶんシリーズ外と思われる、シルクロードを舞台にしたストーリーも入っています(笑)
神坂智子
ホーム社漫画文庫/全7巻/ホーム社
ジャンル:少女・オリエンタルファンタジー/好み度:★★★★★
角川版は絶版、現在はホーム社文庫から再販されています。