プラチナガーデン 藤田麻貴

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亡くなった祖父の遺言により天原瑞貴という青年と結婚することになった少女・花(かずら)の物語。
ハーレクイーンぽい始まりですが内容は恋愛一本やりではなく、恋愛を含めた人間ドラマを多分に含んだ秀作。
主人公の少女は亡き祖父の遺言で、祖父の借金の肩代わりとして青年・瑞貴の嫁にいくように指示されるも、祖父と青年は懇意の間柄で2人だけでの約束であったようで、家人には歓迎されていないという状況。
勝気というか前向きというか、理不尽な抑圧を受けてもへこんだままにならない葦のような性格の主人公が、ねじくれてがんじらがめになっている古い一族に新しい風を吹き込みつつ、青年・瑞貴との絆を深めていくという展開です。
瑞貴の一族での役割とか予見をする女性とか霊的ファンタジー要素もあるのも特徴か。しかしその不思議設定は、瑞貴の心を縛り、2人の障害となるものという役割でしかないように思えます。つまり根幹はファンタジーではなく人間ドラマってことで。
ぶっきらぼうかつ後ろ向きに悩む青年と、苦境にも前向きに考える少女の恋愛模様、2人が出会い、かけがえのない存在となり2人がともに歩くために進む過程が見所。
随所にキュンとくる(古語)シーンがあり、とにかく読み応えのある内容でした。

藤田麻貴
プリンセスコミックス全15巻 / 秋田書店
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★★★

フルーツバスケットを読んだことがある人ならちょっと似てる?と思うかも。主人公のタイプが全然違うし、こちらのほうが恋愛ものとしての色合いも濃いので作品全体の印象が割とちがうのですが、古い因習を持つ一族に新しい風を吹き込む役割を担うのが主人公だという点で。