始末人シリーズ 明智抄

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現代に存在する始末人と彼らのクライアントを通して描かれるシリアスヒューマンドラマ。
廃頽的というかアンニュイというか、人生に期待をせずただ生きている病んだ精神を持つというか生きるということに期待を持たずただ生きているというイメージ。依頼人も彼ら始末人もみなそんな感じ。
詩的で純文学的とでも言うべきか。良くも悪くも純粋すぎる心を持つ彼ら。著者の描く話ってみなそんな感じなんだけど始めて読んだときはこのけだるげで静謐で後ろ向きな雰囲気に、ある種衝撃に似た感情があふれた記憶があります。
時代劇ドラマの始末人と大まかな展開はまあ似ているのですが、前者はただただ不条理に怒りを感じたけどこれはやるせなさと破滅するときの美しさみたいなものを感じたり。この美しさは物語の中だから美しいのですけどね。
始末人たちの殺しの方法は時代劇のそれと同じくちょっと個性的かな。キティちゃんの裁縫道具の針とかね。
しかし人語を解するダチョウが素で人間社会の日常に存在しみんなナチュラルに受け入れている設定はちとびっくりだなあ。周囲が驚かすスルーしているのでありなのかと一瞬思ってしまったのも懐かしい思い出(笑)ちなみにダチョウも始末人の一人です。かなり感受性が高いです。でも殺しのテクは野生まんまです。このキャラが一番印象的でした。外面も内面も。

明智抄
明朗健全始末人 /鳥類悲願始末人/白花繚乱始末人/暗中捜索始末人/勧善掌悪始末人
ソノラマ文庫各1巻 / 朝日ソノラマ
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★☆☆