少年ユキテル、同居人であり幼馴染のユノ、ユノの友人の早乙女が織り成す破滅的三角関係を描いた恋愛物語。
男子高校生・ユキテルは自身の家が火事になり一時期居候していた両親の知人の家にそのまま居候している。そしてその家の長女でクラスメイトで幼馴染のユノに周囲を憚らない好意を受けている。そんな中、ユノの友人である怜悧な美人・早乙女のキスの誘いを受け後に体の関係をも持ってしまう。体の関係にまで至ったときに一度はユノに早乙女を選ぶことを告げると決めたものの結局言えず、そんな主人公に、早乙女は「火遊び」につきあうと告げる。
基軸は主人公と女子2人の三角関係の話だと思いますが、かなり非現実的な設定とはじまりでインパクトは強かったです。
主人公はユノの家に居候しているけれど、親戚でもないし、実家が火事になったとはいえ両親は健在だし。落ち着いたころに一度は両親とユノの家を出るはずだったのにユノがごねてそのまま居候することになり10年たつという。主人公当人もモノローグでその辺の不可解さに突っ込みを入れてますけどね。
ユノのアプローチがあけっぴろげすぎるし、裸でユキテルの前に出てみたり風呂にはいったりするのはラブコメでもあるけどユノの親がその場にいても諌めないってのも変。親公認の仲つっても・・うーん。
周辺はもう夫婦と同義な認識しているユノとの仲ですが、ユキテル当人は確かにユノに好意はあるけど恋愛感情とは微妙に違うようで、早乙女に対してははっきりとした恋愛感情ということみたい。といってもはっきりとさせない主人公に、怒らず縁を切らず実質浮気相手で良いみたいな提案をする早乙女の選択。
あと主人公の実家が火事になったのは幼少時の彼がろうそくの炎を倒したせいだけど、その火事をきれいだと思ったという回想があり、その内面がいまの火遊び状態を導いたということなのかな。
ドツボで袋小路的な展開でも一歩置いて読めるあっさり感があるんですが、ユノはともかくユキテルと早乙女の感情がはっきりと感じ取れないからなのかな。なんか霞がかかっているかんじというか。
著者のあとがきにラブコメってあるんですが、どう見てもコメディに見えませんな。優柔不断な主人公に、べた惚れの幼馴染とクールな美少女との三角関係・・・設定的には確かにラブコメなんだが。作風でこれだけ印象が違うものになるんだなあと。
独自の雰囲気を持った退廃の先しか見えなさそうなタイトル、なのに惹きこまれる。
糸杉柾宏
ヤングキングコミックス全6巻 / 少年画報社
ジャンル:青年・恋愛 / 好み度:★★★☆☆