学生が主人公のホラー作品。といってもあんまり怖くはありません。
怖くないというか心が重くなることがないというか。常軌を逸したタイプの人がいたりグロ表現はあるけどね。
主人公の少年は人には公にしていないけれどかなりのオカルトマニア。オカルト専門のサイトを見るのが楽しみでそのサイトのオフ会も参加するほど。主人公にとっての唯一のホラー体験・幼いころ探検と称して忍び込んだ古びた洋館の赤い部屋の記憶が物語の要になっていく、みたいな。
見えないものが見える奇異な行動をするいわゆるデンパ系のクラスメイトの少女、サイトの管理者で同じ学校の先輩の女性、別離したはずの父親の出現。ホラーだけど根幹は青春ものといってもいいかも。
後半は、思い込んでいた事象が実は虚空だった、逆だったというどんでん返しな展開になってて、ホラーというよりアメージングストーリーっぽい気がした。カルト宗教の呪術の描写はちょっと怖かったかな。
改めてストーリーを回想すると別々の一見関係のないような事柄が次々と出て、それらは実はつながっていたみたいな構成ですね。でも読んでて戸惑わず、支流から本流へ流れる河のようにすんなりと頭に入る。読みやすくていいわあ。
登場人物が魅力的なのも特徴か。主人公をとりまく2人の女の子がいい味出てるなー。
終わりの文章から、続編もでるっぽい。