イセングリムの夜警 紫堂恭子

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のどかな村イセングリム。村で医者をしている兄と暮らす女性は、村落と森の境目にある街壁の門番の青年と出会ったことから、森に棲む怪異の存在を知ることになる。
西欧系の架空の世界の長閑な田舎の村が舞台。主人公の女性は、その村の医者を務める兄と同居しており、家事や診療所の雑用などをこなす明るく優しい気質の働き者。村には壁がありその向こうに入ってはいけない森が広がっており、壁の門には門番がいる。主人公はひょんなことからその門番の青年と知り合い、うっかり森に入って森に棲む不可思議な怪異と遭遇してしまう、というはじまり。
兄妹は孤児で兄のほうは医者の養子になり幼少時からこの村にいるが、妹の主人公は1年前に兄に呼ばれ村に住むようになったという経緯があり、村人には衆知であろう森のことを主人公は門番との出会いがきっかけで知るという展開。
門番は土地の人間でない、というところが強調され、自分も門番と同様によその人間だという思い、村というコミュニティに馴染めているのかという不安とかもクローズアップされていく。
単なる怪異と遭遇ホラーというわけではなく、それを通しての主人公の心情や、門番や兄との関係が丁寧に描かれている。未知の存在の恐怖だけでなくリアリティのある人間ドラマ的な要素も多分にあり読み応えがあるといえる。巻末に洋物の遠野物語、と著者が説明しているが、それな!と納得できる内容だった。怪異と人間の領域がきっちり分れているので事態が収拾すれば日常に戻るところも妙なリアリティがあったかも。ちなみに1巻に出てくる怪異は二口女とゾンビ。

紫堂恭子
朝日コミックス全2巻 / 朝日新聞出版
ジャンル:女性・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆