阿部くんと黒羽さん・となりの吸血鬼・みんなきらきら・さくらふぶきに咲く背中。曲がり角のボクら・よろめきのボクらを収録したちょっとほろ苦い青春と恋愛の作品集。
どの作品も一見スタイリッシュな雰囲気を持ちつつも、いい意味で泥臭さを内包しているなあと。ちょっと冷めてるけど、ここ!というときの思い切りの良さと行動力はまさに青春。物事に関心薄そうなと見せかけてけっこう熱いキャラってのはかっこいいよなあ。うん。
「阿部くんと黒羽さん」
ちょっと冷めた性格の女子高生・黒羽は、優等生のクラスメイトの男子生徒と女性教諭の修羅場を目撃する。互いが互いを思いやる生徒と先生、それを傍目で見る主人公。とことん純愛そして青春。
「となりの吸血鬼」
吸血鬼に関する著書を書いた大学教授のもとに、本物の吸血鬼と名乗る男が現れる。ちょっとしんみりけっこうコミカルなファンタジー。オチが絶品。
「みんなきらきら」
娘と娘を溺愛するお父さんと娘が通う幼稚園のイケメン保育士さんのほのぼのハートフルなお話。社会においてどーしても発生しちゃう先入観。そんなもんもってない子供は純粋にいい人になつく。それを読み取る大人って素敵。
「さくらふぶきに咲く背中」
幼稚園生のときキスをした女子2人は高校生になって偶然再会する。片方はそれを覚えていないんだけども。わかっちゃいるけどどうしようもない恋心と揺れ揺れな自己。せつなく甘酸っぱいお話。ちょい百合傾向。
「曲がり角のボクら」
学際前日、一見モテ系(だけど中身は純情)の男子が周囲の勢いに乗って気になる女の子に告白する。告白した男子とその親友、告白された内気な女子とその親友、男子2人と女2人の青春恋愛もの。テンポがすっごい良い。ひねりのあるラストに思わずうなってしまいました。そうくるかって感じ。4人の描写が等身大というかなにかしらの共感を感じる自然体なのも好きでした。
中村明日美子
花とゆめコミックススペシャル全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・青春 / 好み度:★★★★★