脱サラしてパン屋を経営する、見た目柴犬そっくりのしばたさんをめぐるちょっとシニカルな日常コメディ。
しばたさんは見た目は柴犬そっくりだがれっきとした人間で、脱サラしてパン屋を営んでいる。という設定のパン屋店主をめぐるほのぼのものかと思いきや、わりとシビアというかしょっぱいというかなノリが多分に含まれる雰囲気の話だった。
物語の主人公は店主だが、物語の視点はむしろ店主の4歳の息子のようなかんじ。柴犬の風貌を持つ親子ならではのエピソードに加え、人気店というわけではない、むしろ閑古鳥が鳴く傾向が強い店の悲喜こもごも、そして家出した店主の妻(息子の母親)の行動が話の核となっている。
可愛い絵柄と間の抜けたテンションとちょっとシビアだったり夢見がちな大人の事情がいいバランスで皮肉さを醸し出している作風。妻は出て行ったもののちょくちょく店に立ち寄ってはいるが店主とは会わずよりを戻すまでに至らずといった現状や、どこか抜けた父である店主の行動を生温かい眼で見守る達観した子供、という図式は面白い。
鵜飼りん
モーニングKC全5巻 / 講談社
ジャンル:青年・コメディ / 好み度:★★★★☆