金を持ち逃げされ会社が倒産、ホームレスを余儀なくされた40歳ちょいイケメン男性は河川敷で釣りをしている際、奇妙な少女と遭遇する。どこか浮世離れしたというかぼんやりした奇妙な雰囲気の少女と奇妙な会話をする中、男性のわずかな荷物が消えていた。男性が驚く最中、2人は無軌道そうな若者に絡まれる。だがその若者たちは消え、箸を持ち何かを租借する少女と若者の仲間であろう驚愕で混乱した女性だけが残った。
つまりは不思議な少女が不思議な箸で男性の荷物も絡んだ若者も食ってしまったということで。少女はもちろん普通の人間ではなく宇宙から来た生命体(というか機械?)で、とりあえず食べたものを吐き出すこともできるという。
食べ方はSFなのに吐き戻しはアナクロ。そしていったん食べたものは吐き戻してもけっこうまざっちゃっててえらいことにという展開。
少女と男性はなし崩しに行動をともにすることになりその際なぜか絡んだ若者の仲間である少女も同行し、金を持ち逃げした相手とかその傍にいる異種体の女性とか、ナビゲーター役(いろんな意味で説明役)の異星生命体とか徐々に登場人物が増えて話が回っていきます。とりあえず異種生命体は侵略というより調査に近い目的で来訪している模様?
シュールでグロテスクな要素を多分に含んでおり、毎回ドタバタを通り越して大騒ぎな事態に発展し荒唐無稽といって問題ない展開が繰り広げられております。でも作品全体の雰囲気は、まったりというかほのぼのという不思議。まあブラックジョーク込みのほんわかさなのですが。ちょっと脱力系も入っているか。
人間などの有機物・道具などの無機物区別なく食べる種というSF、吐き戻した物体の混ざり具合のグロギャグネタ、少女の吐き戻す様への萌え、底辺人間の人生コメディ、随所に時事ネタやWEBネタなど遊び心満載の小ネタをちりばめ、どの方面にも対応している娯楽作品といった感じ。
グロテスクな表現が絶対だめという人以外は確実に笑える傑作かと。
沙村広明
アフタヌーンKC全2巻 / 講談社
ジャンル:青年・コメディ / 好み度:★★★★★おすすめ
1話で少女が吐き戻した有機無機混合物体って、魔界都市ハンターで新宿の公園にいた変異体を思い出す。