いづれの御時にか 吟鳥子

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時は平安。政争により出家を余儀なくされ都に復讐を画策する王子、その手足となる配下を中心にした貴族の愛憎の物語。
平安の世のいづれの帝の時代か。跡継ぎとして有力視されていたが政争により出家を余儀なくされた第八王子はその恨みを晴らさんと、自らを「鬼」と呼び、従者「小鬼」を使い都を騒がせていた。
1本のストーリー漫画の形式ですが主格たるキャラが変わっていっている模様。どうも登場する主要人物のドラマを各々描いていきつつ、政治的背景も含めて本筋の復讐劇を描く構成・・なのかな。
おそらく主役はその元王子の僧かなとは思うのですがしょっぱなのエピソードは僧が使う小鬼の一人に焦点があたる話でちょっととまどいました。
平安時代の古典文学のあの独特の雰囲気を上手に表現し、かつオリジナリティもきちんと出されています。当時の文化や風俗を研究されて描かれているのかなあと感じたり。
なんといっても複雑にからみあった人間模様が見所だと思います。心情がからみあうというより人物相関が複雑という感じですが。全体的に、タイプは違えど直情タイプではないというか愚かではないというか状況把握がしっかりしているというかそんな賢明なキャラが多いのもなんとなく好印象。
なんというかこのタイトルの魅力を表現しきれないのがくやしい(汗)色恋の話がそれほど泥沼ではなく人物の独白が多め、政治的な推移の描写もしっかり描かれた平安絵巻といったところか。とにかく平安ものとしては読み応えのあるお勧めのタイトル。

吟鳥子
ウィングスコミックス全2巻 / 新書館
ジャンル:少女・平安・時代 / 好み度:★★★★★おすすめ