長くは生きられない身寄りも持たない少女・りかのは、死んだ魔法使いの遺言により彼の心臓を移植し生きながらえる。しかし魔法使いの心臓を狙う何者かにより狙われることに。魔法使いの聖疵をめぐる少女たちの魔法の物語。
主人公は治療不可能な病を持ちホスピスで死を待つだけの存在だった。彼女はある夢で男性の魔法使いが、自分の跡を継ぐなら自分の心臓を渡すと持ちかける。一も二もなく主人公は承諾、死んだ魔法使いの心臓を移植され退院する。
魔法使いの一番弟子の女性が迎えにくるはずだったが主人公の中に存在する魔法使いの心臓を狙った少女によって行き違いになる、という始まり。
魔法使い、教会、猫耳といったいまどきのファンタジー設定と、妖しくせつなくどこか寂寥とした雰囲気を内包した著者独特の世界観が特徴です。基本的にメインキャラはほとんど女性で、一見萌えな話かと思われそうですが中身はかなりシリアスです。魔法使い同士の戦闘描写もキャラ同士の交流も空間描写が秀逸で、とにかく画面がきれいだなあと。
まあ良くも悪くも同人嗜好の人向けかな。もっと砕けた表現をするとシュミの世界（笑）設定が特殊だし、主人公２人の交流とか主人公の心情描写とかはていねいなのですが、本筋が進んでいるようで進んでいないようなもやっと感があり。正直、商業誌向けの話ではないなあと思いますが私は激しくツボに入りったタイトル。２巻のメイドさんの台詞が一番印象に残っており、このタイトルに強烈に惹かれた一因。
宮下未紀
角川コミックス ドラゴンJr.２巻 / 富士見書房
ジャンル：少年・ファンタジー / 好み度：★★★★★
２巻出たところで休止しちゃってますが続きは出るのだろうか・・。