小さな町を舞台にした様々な思春期の夢や挫折や心情を描いた青春ストーリー。
主人公は小さな町で純朴に暮らしている中三の少女。彼女のクラスに東京から転校生の少女がやってくる。主人公は転校生にピアノが好きで将来はこの町でピアノの先生をしたいと語るが転校生は現実をつきつける。
まっすぐに生きてきた主人公がはじめて知る現実と周囲に対する憤り、転校生の両親の離婚による現状の不満と自分を理解していると思っていた父への失望、２人以外の登場人物にも自分の置かれた状況になにかしらの憤り。現状に満足できないゆえに周囲の誰かにぶつける思春期の行動や複雑な心情の描写が絡み合い、という感じの少し苦いものもある青春もの。
もやもやというかすっきりしないというか感情が整理しきれなくてあふれるさま、誰かにぶつけそれを別の誰かに諭されたときの表情とかが印象的でした。恋愛方面の展開はちと意外な部分もあったりなかったり。
細かいエピソードの連続ながらきちんと区切りをつけて物語を広げていく、じっくりと描かれた丁寧な構成が見事。
香魚子
マーガレットコミックス全２巻 / 集英社
ジャンル：少女・青春 / 好み尾：★★★☆☆