大正~昭和初期に活躍した本格ミステリ作家・江戸川乱歩の狂気と官能の世界をそのままに映し出したコミカライズタイトル。
探偵団以前の大人のミステリ作品を漫画化した内容。構成としては1話完結形式のミステリドラマかな。
乱歩自身が作品に登場しストーリーテラーとなっている穴男・座男などの話、明智小五郎が出会った事件を推理・解決するD坂の殺人事件などがあります。
人間の闇の心理を真っ向から描いた廃頽的なドロドロとした濃い雰囲気、トリックからではなく人間の特異な心理や嗜好などからその行動を読み取るというパターン。昔の作品なのに今見ても遜色ないあたりやっぱ巨匠だったんだなあと。
乱歩本人も明智も、生真面目な青年ではなく、怜悧で気障、物知り顔で人を見るタイプに描かれています。でもそこに魅力を感じるというキャラデザが絶妙。初期の明智ってこういうキャラだったのかな。
また、おどろおどろしさがうまく出た作画で、当時の文化や風俗など時代考証もしっかり考慮されているところも良。特にそれを感じたのが女性の下着のデザインだったり(笑)
原作:江戸川乱歩 / 漫画:山口譲司
ヤングジャンプコミックスBJ 全13巻/ 集英社
ジャンル:青年・ダークミステリ / 好み度:★★★★☆