しっぽ!エンハンスメント 大野ツトム 

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とある島に住む長い「しっぽ」を持つ少女は、海で外国人の男子を助ける。その男子は、少女の亡き祖父が自分を迎えにくると行っていたある国の王子だったのだが・・。少女の「しっぽ」を巡り国家間の陰謀も絡んだ冒険が始まる。
ヒロインの持つ「しっぽ」を巡るサイエンスバトルアクションといったところか。おおらかな土地柄の島に住むヒロインには背中から伸びる人工的な「しっぽ」があり、それは病弱だったヒロインのために亡き祖父が自分につけたものであり、けっこう万能で仕事などに役立っていた。将来ある国の王子がそのしっぽを取りに来る、そのときは王子を守ると祖父と約束していたという経緯があった。
そんな彼女が、ひょんなことから何者か追われていた眼鏡男子を助けたのだが、その男子はヒロインのしっぽが何であるかを知っており、しっぽに異様な執着を見せる。そんな男子に変人と殴り飛ばすが、実はその男子が件の王子だったわけで、「しっぽ」もプログラムにより、ヒロインの意思と関係なく男子を守る行動をおこす。
いずれ自分を迎えに来る、守るべき王子というシチュエーションに夢を見ていたヒロインは、現実との乖離に反発するが、祖父の言い付けもあり、結局ヒロインは彼女の「しっぽ」の技術を解明したい王子とともに島を出るというはじまり。
構図や迫力など、すべてにおいて魅せる秀逸なアクション画面構成、メインキャラも敵側のキャラも活き活きとしたキャラつくりが好ましい。特殊な科学技術を巡る国家間の陰謀も含めた争いを主軸に、ドタバタラブコメの要素も加味しつつのバディ要素を前面に出したストーリー構成も魅力。けっこう壮大な背景なのだがシリアスに傾倒しておらず、快活というかまっすぐというか陽気というか脳天気というかなあっけらかんとしたノリも印象的。青年向けにはもはや必須のパンチラなどのお色気要素も、しっぽの設定を活かしアクションの中で自然に多用しているところもいい(笑)高い質の作画能力なので見ていて違和感がないしね。パンチラつーかモロパンといったのうがいいのか、この話の場合(てかモロパンて古語か・・;)。読んでいて素で楽しめる、エンタメバトルアクション漫画のお手本のような作品だと感じた。

大野ツトム
アクションコミックス全2巻 / 双葉社
ジャンル:青年・アクション / 好み度:★★★★☆