ある街の一角に等身大の少女の生きた人形「観用少女」を取り扱っている店がある。日に3度のミルクと砂糖菓子と愛情で育つ観用少女(プランツドール)は自分の持ち主を選ぶ性質を持つ。観用少女に魅せられた人々の愛情、嫉妬、愚行、変化等を描いた物語。
特に時代背景等の説明がないのですが、近未来の香港っぽいイメージの世界観。一話完結形式で、アメージングストーリーっぽいエピソードが多く、シリアス、コメディ調な話もあります。プランツドールは普通の人形と少女の中間のようななんとも不思議な人形です。姿は人形そのままですが、その名の通り、植物の要素もあります。上手く育たなかったら「枯れ」たり、ミルクを与えるのは水をやること、砂糖菓子を与えるのは肥料をやるのと似ています。どのプランツドールもまさに愛されるための存在という感じ。作品のテーマ・雰囲気と著者の絵柄や描写方法がぴったりハマッています。プランツドールを通していろんな人の人生が描かれています。幸せになるも不幸せになるもその人次第ということを切に感じたり。
観用少女の店の主人が実にいいキャラです。茫洋としていてがっちり商売人なところがツボ。一番好きなエピソードはモデルの女性が主人公の話かな。やっぱりハッピーエンドな話が好きな私。
川原由美子
眠れぬ夜の奇妙な話コミックス3巻/朝日新聞出版
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★★★