他国の要人暗殺用に育成された毒姫リコリスをはじめとする人々の運命と戦いの物語。
冷酷でプライドの高い女王が治めるミトラガイナは他国の要人暗殺の手段として「毒姫」を育成している。毒姫とは赤ん坊のころから少しずつ毒を服用し体液を毒とした少女たちを指す。少女たちは他国の要人の側室として差し出されその体液でもって標的を死に至らしめる。そんな毒姫の一人リコリスが主人公。
リコリスと親しい毒姫の話を経て、複数の国にとって重要な水源を持つ国に派遣されたリコリス自身の話が語られていきます。
リコリスが派遣された国の内部も、3人の王子のうちの1人が国を滅ぼすという予言や現王の秘密や覇権争いがありいろいろ複雑だし、水源に関して複数の国がからむ政治的な問題もあったりと、様々な人間の思惑と策謀がからみあう中、リコリスは自分の運命と情の間で揺れ動くって展開。
著者の話はとことんせつないというか悲しいというか身に詰まされる話が多いですがこのタイトルもそんな感じ。どのキャラも一歩間違えればすぐに破滅するようなあやうい綱渡りを行っている。そんな中でも様々な形で惹かれる相手を想い嬉しいとか幸せといった感情がよぎらせる。
うーむ。うまく感想がかけませんが、メインキャラの心情描写も物語の構成もそれなりに練られているなあと感じました。特にメインキャラの揺れ動く心情と寂しい者たち同士のふれあいの描写とかが心に染みます。著者にしか描けないような独特さと突き抜けた感のある登場人物たちの本質がすごい。国家ドキュメントとしては少々ありがちではありますがこのタイトルの主題はそこじゃないし。
予言の伏線とか国家間の動向とか主人公と3人の王子たちはどうなるのかとか先が読みたいような先を読むのが怖いというか。どうもハッピーで終わりそうにもないんだもんなあ;でも「人間の物語」として十分に読み応えがあるタイトルなのは確か。
三原ミツカズ
眠れぬ夜の奇妙な話(Nemuki+)コミックス全5巻 / 朝日新聞社
あさひコミックス文庫 / 朝日新聞社
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★★★