西欧ファンタジーな世界観の皇帝が治める国が舞台。皇帝に仕え神託を受ける一族の中で幼少期から特に高い能力を持つレグナ。彼はある日強烈な殺意を持つ意識の夢を見る。誰が放った殺意か不明なもののそれを止めようと賢者の夢「アルオスメンテ」を行う。
皇帝に仕える者である主人公は、皇帝に仇なすやもしれぬ殺意の声の主を探そうとするが確実な情報だけで動けない状態。そのため言い伝えとして存在する方法・賢者の夢を試すことに。
いくつかの儀式のためのアイテムを手に入れ夢の中の賢者と出会うことに成功する。しかしこれは真実を見極めきれなければ命を落とすという試練。賢者の忠告も突破しその試練を受けることにする主人公。方法としては10枚のタロットカードを当事者たちにあてはめ円卓で見極めるというもの。
観念的な想像力というものが基本的に欠けている主人公は困惑しながらも、カードに当てはめるべく周囲の人間を観察する、という流れ。
タロットカードを基盤としたファンタジー設定と法則が物語の軸となっています。逐一さりげない説明が入るので世界観に入りやすく混乱は少ないかと。いつも思いますが著者の舞台設定って独創的で著者にしか作りえないであろうところが魅力なんすよね。
また深淵で複雑な人のこころの描写や思惑が複雑に絡み合うミステリ的構成も見どころ。主人公は賢く聡明で生真面目だがそれゆえに石頭と称されるほどに視野が狭い。1つの事実には表と裏の2つの真実があるけれど主人公は表しか見られない気質というかんじ。愚鈍ならまだしも正論を滔々と語るゆえある意味始末が悪いという。
現在の事態は、主人公が初めて神託の能力を開花させたときの事件が絡んでいるようで、そこはかとなく予想はできるもののどういう真実が見えてくるのか続きが気になるところ。
あき
ゼロサムコミックス1~ / 一迅社
ジャンル:少女・ファンタジードラマ / 好み度:★★★★★