貧しい家庭ながら母親が見栄で入学させたお嬢様学校で浮いた存在のおさげの少女に才女と謳われる美少女が話しかける。2人は親友となった。そんな中月を見る約束を交わした駅のホームから美少女は電車に向かって落ちてしまう・・・。
この事件を担当した刑事、少女、美少女の身内や医者、新聞記者、雑誌連載を持つ作家そして陰陽師・京極堂といったさまざまな人間が登場し各々の見解や心情が次々と展開されていきます。
タイトルにある、みっちり中身が詰まった匣というのもキーアイテムのひとつか。
昭和中期の淫蕩じみたほの暗い娯楽小説を彷彿とさせる雰囲気が特徴。
意味ありげで興味を引く描写は多々ありますがストーリー自体は物語という形になっていないような気がしないでも。そこが良いのか、このタイトルは。
映画や原作小説を知っている人とそうでない人とではうける印象が違うと思いますが、漫画で初めて知る私にとってはなんとなく続きが読みたくなる構成なのは確か。それにしても京極堂さん1巻の最後のページでやっと登場とは・・。
作画は古めかしさを残しつつも線が綺麗で読みやすいです。志水さんはやっぱ力量があるなあ。
原作:京極夏彦 / 漫画:志水アキ
怪コミック全5巻 / 角川書店
ジャンル:青年・伝奇ミステリー / 好み度:★★★★☆