食の軍師 泉昌之

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どこにでもあるごく普通の店や弁当などで食べ方や料理の選択にこだわる男性によるB級グルメ薀蓄と彼自身の戦い。
著者名・泉昌之は、泉晴紀と久住昌之のコンビペンネーム。孤独のグルメやズボラ飯と同じ原作の漫画、ということで読んでみたら予想以上におっさん漫画でした。絵柄から想像は易いのですが、想像以上に濃かったという意味で。
主人公はトレンチコートを愛用する昔のハードボイルドな風貌の濃いおじさん。飲食店に入ったり車中での弁当だったりとごく普通の外ごはんを食すというのは孤独のグルメと同じ形式ですが、たとえばおでんだったらどの具を選択してどういう順番に食べるかという、主人公の妙なこだわりを主題にした内容。
「通」のごとくいろいろ薀蓄を語りつつ主人公が食します。ただし薀蓄は心の中で。その中で、1話目に同じ店で見かけ、以後主人公が勝手にライバル視することになる青年と、度々ジャンルの違う店で偶然かち合うことが続き、そのたびに主人公は対抗心を燃やすがその青年に対し撃沈してしまうという展開に。
といっても主人公が青年を勝手に意識して勝手に負けたと落ち込むだけで、主人公は青年にそれを宣言しているわけでもないので勝負というのとは違うんですが。
食べ方や料理選択を考える演出は、戦略を考える軍師のように、題名にもあるように食=蜀とかけて孔明になりきったノリ。
こだわりの描写は傍目からみると正直滑稽のなにものでもないノリなんだけどそこがツボどころなんだろうな。うっかりいまいちな選択をしたと感じたときの苦悶の描写がせつないやら笑えるやらで。これ、劇画調だけどギャグでいいんだよね?

泉昌之
ニチブンコミックス1~巻 / 日本文芸社
ジャンル:グルメ・青年 / 好み度:★★★☆☆