親元を離れコンビニでバイトをする青年。彼はロリータ趣味の女性を拉致監禁するが乱暴には至らず、その直後盗撮していた別の女性が殺されていた現場に遭遇してしまう。奇妙な形の推理サスペンス。
穏やかならぬ表題ですが、人間相関は奇妙なれど客観的状況の割りに人間描写はぬるく、ミステリーに重点を置いている構成。推理サスペンスの組み立てとしてはごくごく普通だけど、登場する人間関係というか、殺人に巻き込まれた主人公と探偵役の女性の関係が変わっているというかんじ。
まず主人公というか物語の主格の青年は、ぶっちゃけ変態というか犯罪やってます。勤め先のコンビ二にたまにくる女性に懸想し彼女の部屋を盗撮してます。そんな中、ナンパして食事を奢りそこでバイバイされそうになった別のロリータ服装の女性を拉致監禁します。しかしロリータ女子はどこか肝が据わっていて青年が自分を暴行できないと断言し、実際コトには至りません。しかしそのまま解放も出来ず、換えの可愛い下着が欲しいという相手の要求に従い盗撮先の女性の部屋に下着を盗もうと入ります。その際、住人たる女性が殺されたいたのを発見。盗撮していた女性が殺されていることにうろたえるばかりの主人公にロリータ女子は的確なアドバイスをしたことをきっかけに、疑心暗鬼な面もぬぐえないまま主人公はロリータ女子に状況を説明し女子が推理するという流れに。
監禁された女性が探偵で監禁した青年が助手という変わった形の安楽椅子探偵型ミステリー。
コンビ二の同僚たちや主人公の母親などが登場し、誰が犯人かというのを主人公たちが突き止めるスタンダードな型だし、犯人はいかにもな人でした。つか犯人が捕まるまで犯人の性別を勘違いしていましたorz。ロリータ女子のキャラにいまいちリアリティがあるようなないような微妙さはありましたが、推理モノとしては堅実な内容かと。
原作：我孫子武丸 / 漫画：西崎泰正
マンサンコミックス全１巻 / 実業之日本社
ジャンル：青年・ミステリ / 好み度：★★★☆☆
盗撮・拉致監禁は不問（被害者が訴えることがないため公にされない）で憑物が落ちたように前向きに進む主人公のラストなど主題以外でちょっとすっきりしない印象もあるけどね。