水色エーテル 黒霧操

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ココロペンダント・この胸の花・水色コットン・春待メランコリィ・嘘つきミルフィーユ・真珠ノ目を収録した繊細なタッチで綴る百合短編集。
どちらかというと百合独自のご都合主義的世界観は薄くでも女の子同士でしか描けない恋愛模様はしっとりと描かれています。現実に即した世界観での百合関係あり、ファンタジー世界観でも人間描写はけっこうリアル、とハッピーエンドばかりではなく悲恋ものも多いですが余韻の残る演出が印象的。女性特有の陰の部分も潔さもひっくるめていとおしさを感じる演出と構成が見事。
せつなく儚くな百合物語と繊細で柔らかででもピリッとしたものもある絵柄がすごくあっているなあと感じました。
上京する想い人に対し暗い感情を持つものの相手にとっていい人間でいたいと想う感情、おそろいのストラップを持ち浮かれるが相手には男の恋人が、という状況の微妙な心情を綴ったものと、女子同士の透明な独特の関係性と心情描写が秀逸なのです。
特に一番印象に残ってるのはやはりこの胸の花かな。女子の恋人と同衾して目覚めた孫と、だらしないとしかる祖母。とはいえ同性の恋人がいるのはとがめないその理由を問う孫。かつて愛し合った女性がいた祖母の思い出。世代をまたいでの百合ものってなかなか珍しいかも。祖母たちは時代が時代なので結局お互い男性と結婚するというあたりがリアルだった。まあかつてといっても想いは時がたった今でも繋がっているわけですが。そういう永遠性はやはり百合ものらしい。

黒霧操
百合姫コミックス全1巻 / 一迅社
ジャンル:百合 / 好み度:★★★★☆

他の作家さんを引き合いに出すのはアレかもだけどタカハシマコさんが好きな人にはツボるかもしれない。タカハシさんの作風に毒を抜いたかんじというか。