おもいで停留所 池田邦彦

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戦争が終わり数年経った昭和25年。戦争で父を亡くし中卒でバスの車掌をする少女の成長物語。
戦後から数年、人々の暮らしが徐々に活気を取り戻しつつもいまだ爪痕は残る時代の話。バスの車掌を仕事とする少女の視点から、戦争で家族を失った人、傷を持った人、様々な人々と彼女自身の暮らしや思うところが綴られていく。
主人公のある種の成長物語であり坦々と描かれるごく普通の人たちの日常の物語。読み物としてのドラマもきちんとあるが仰々しくはない。今では見られない当時の生活の描写も印象的だった。当時の人々の暮らしというのがなんとなく疑似体感できるような気がする秀作。
昔は路線バスでも車掌がいた、というのは知っていたけど仕事内容は初めて知った。戦争経験者は身近にいるがやっぱ自分の周囲のことしかわからんしね。今では当時を知る人もかなり減ってきてるんだろうし、このテの物語は貴重な気がするのだが。

池田邦彦
ニチブンコミックス全1巻 / 日本文芸社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆