不機嫌な恋人 三国ハヂメ

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理系大学生×年上の技官の話「不機嫌な恋人」シリーズのほか「残念ですが理解不能」「これはなんのカギ?」「えびせんくんとまかろんちゃん」を収録した著者の初BL短編集。
実験続きの理系大学生・上田は、年上の技官・須見さんに興味を持ち、眼鏡を取った素顔に魅了されてしまう。理系男子同士のBL・・かな。
初対面ではなくそれなりに顔を知った者同士が親密になるきっかけや過程など構成は自然でソツがない印象。
受けキャラは乙女というより浮世離れした世間知らずな深窓の姫というかんじ(喩えに夢入りすぎかw)。世間に疎いとか無口がゆえの可愛らしさとそれにぐっとくる攻めの人の描写が絶妙っす。こういう年下×年上も良いね。描写はゆるくなく濃くなく。受けの表情はツボった。
「残念ですが理解不能」
先輩×後輩の学園BL。変わり者と有名の先輩に尻を揉まれる安部。それがきっかけか先輩がトップクラスの成績ということで勉強を教えてもらうことに。ちょっと天然が入ったようなお花畑が見えそうなタイプの先輩とごく普通の後輩というかんじか。この学園の雰囲気は著者らしいなと思った。先輩の感性が把握できず行動が読めずで翻弄される後輩が可愛い。
「これはなんのカギ?」
3ヶ月前から付き合っているヨシと里見。里見からもらった合鍵を扱いかねているヨシ。というのも自分から一方的に告白した経緯から、OKをもらったものの里見は自分が好きではないかもと悶々と考えてしまうという状態。相手の気持ちを図りかねているネガティブ受けくんということか。こういうキャラは描写次第でうざさ紙一重なんですが、こちらのキャラの心情描写は好みでした。やっぱ描き慣れているのかなあ。
「えびせんくんとまかろんちゃん」
タイトル通り食べ物の擬人化ショート。辛い系駄菓子と洋物甘菓子ってどういう組み合わせか。擬人化苦手なんですがするっと読めるなあと思うと同時に、これは擬人化でいいのかとも思ったり(笑)
著者の作品は百合ものしか読んだことがなかったのですがTLのほうが有名だったのか。そしてBLは初めてというのがちょっと意外だった。百合もがっつりH描写があるタイプの話を描かれますが正直BLのほうが萌えた気がする。

三国ハヂメ
花音コミックス全1巻 / 芳文社
ジャンル:ボーイズラブ / 好み度:★★★★☆