脳内ポイズンベリー 水城せとな

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アラサーのいちこはは気になっていた7つ年下の青年と突然遭遇する。彼女の恋愛模様のみならず、恋愛関係の行動の決定をする擬人化された脳内会議を描く異色恋愛狂想曲。
主人公はアラサー。以前出会った際、気になっていた青年と偶然同じ電車に乗り合わせ、ぎこちない会話や食事、彼の部屋の掃除などを経て一線を越えるが・・。
とまあ恋愛モノとしては普通なのですが、主人公が好きな相手との会話や相手に対する行動を決定するために脳内で行われる会議の描写があるのが最大の特徴。
たとえばギャグなどで登場人物がお金を拾うとする、その際交番に届けるかパクるかの選択で天使の人格と悪魔の人格が頭の上に登場し彼らが議論するという心情表現をメインに持ってきている感じ。
会議というだけに、単純に善悪の面だけでなく精神の様々な側面が擬人化されそのキャラたちが議論を繰り広げています。といっても多数決で決まるものでもなくワンマンなキャラが乱入して決定というパターンもあるあたり人間臭くてリアル。人格分裂というわけではないはずですがちょっと疑っちゃうくらい脳内キャラたちの主張が激しいなあ。
まあ脳内会議は見せ所ではありますが主題はあくまで主人公の恋の行方。主人公は恋愛慣れしていないというか恋愛に関してはかなりぎこちなく脳内会議の描写が示すように後ろ向きな考えに走りがちなタイプ、相手のほうも芸術系にありがちな感性で動くちょっと変わったタイプ。
そんな2人なのでお互い好感を持っているというのに、ちぐはぐというか歯車がかみあわないばかりで、読み手をしてはやきもきしてしまうという。また2人の共通の男性も狙ってではなくむしろ2人をとりもつこともしているのに、2人の間をややこしくしている要因になっているあたりがよく考えられています。ラブコメドラマという読み物としては秀逸なタイトルかと。
主人公の不器用というか間が悪すぎるというか、なキャラにはそこはかとなく共感を覚える・・(笑)

水城せとな
クイーンズコミックスコーラス全5巻 / 集英社
ジャンル:女性・ラブコメ / 好み度:★★★☆☆