児童書を中心とした私設図書館を舞台に、その館に勤める無愛想な司書の青年と利用者との交流や児童書に纏わる物語。
町外れの公園の敷地内にある小さな私設の図書館。児童書を置くその館には、マナーの悪い利用客には容赦がなく無愛想だが、本と本を愛する人間には誠実で真摯な名物司書の青年がいる。
児童図書に特化した図書館と司書と利用者の物語。1話完結形式で、各話のテーマとなる本ももちろん児童書。昔話もそうだけど児童書の原典の内容はけっこうシビアなものが多いんですよね。
主人公の司書は物語においては狂言回しな立ち位置になるのかな。彼と相対する利用者は、子供はもちろん、人生の岐路にたったリーマン(後に準レギュラー)や子育てに神経過敏になってしまった母親などもおり、彼は相手に1冊の本を渡し、それは渡された人間にとって運命とも呼べそうなぴったりの本という展開。司書自身の物語の回もあります。
相手に合う本を紹介する、という司書の仕事を通しての人間ドラマというところか。人物同士のやりとりには真剣でシリアスなものとコミカルなノリのものと良い按配だし、ドラマものだとたまに感じる中だるみさもない構成。主人公のキャラがけっこうドライで要点をきっかり言う気質だからか湿っぽさがなく物語として堪能できるところも良い。
篠原ウミハル
芳文社コミックス全15巻 / 芳文社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆