アヴァール戦記 中村珍

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赤裸々に漫画家の内情と著者の周囲を描いたエッセイ漫画。
重厚な戦士の表紙に戦記という題名。どんな話だろうを紐解いてみれば、著者による漫画家の実情と業界の内情を描いたエッセイ漫画でした。帯ちゃんと見てなかったからなあ。
予備知識のない読者を初手であっと言わせる手法はすごい。で、本文はエッセイらしいデフォルメした絵柄ながら、内容はただの日常エッセイ漫画じゃない密度。ケチというか細かいというかな著者が、仕事やそれに関わる諸々の事柄を描いた構成。時には損得勘定を展開させるところもあり、一種の経済コラムを見ているようとな気持ちになるというか。漫画を描くほうの技術ではなく、職としての漫画家の実情がわかる内容というか。震災前後で内容に変化が現れているところが印象的でした。
単行本化に際しての描き下ろしについては原稿料が発生しないというのはほかの作品でも情報として描かれていることはありますがこちらはさらにつっこんだ内容で、興味深かった。編集側としては扱いにくいめんどくさい作家なんだろうけど作家側これくらい主張してどっこいだと思う。

中村珍
バンチコミックス全3巻 / 新潮社
ジャンル:エッセイ / 好み度:★★★☆☆

羣青の経緯ははじめて知った。仕事きついんだろうけど人としてだめだろう編集者。