主人公はすでに著名な作家でもある男子高校生。彼の書く作品は江戸の遊郭を舞台にしたものばかりで、当人は資料もなく頭に浮かぶことをそのまま作品を書いていた。そんな中、主人公の通う学校に転校し主人公のファンという少女との出会いにより、主人公は過去世である遊女の体に魂だけ転移するようになる。
いわゆる転生ものですが、主人公は過去世での体験を夢で見るのではなく魂だけ実際に過去に移動するという設定。ゆえに現世と過去世をいったりきたりという状況。繰り返し転移する中で過去世で主人公に関わった人間が現世でも集まってくる。過去世の因縁が現世でも繰り広げられる、という展開かな。
重要人物の出会いと顔みせの後、過去世で主人公が死んだ理由やそこに至る謎、そして現世での人間関係がが物語の肝となってくる模様。
面白いのは主人公と少女は現世と過去世では性別が逆転しているところか。あと主人公は過去世に転移するという奇妙な体験をしても、生来の作家魂なのか好奇心旺盛なのか、さほど動じることなくむしろ状況を楽しむ余裕もある飄々とした気質なのも特徴か。個人的にはこういう主人公のほうが話に入りやすくて好みなんですよね。後々変化が生じるか否かは別としても。
遊郭の雰囲気や粋なやりとりが好きだなあ。2つの時代の因縁をどう展開していくのかが楽しみなタイトル。
潮見知佳
花とゆめコミックス全4巻 / 白泉社
ジャンル:少女 / 好み度:★★★★★