鳥類学者のファンタジア 望月玲子 / 奥泉光

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ジャズピアニストの希梨子は、演奏中に気配を感じる。その気配は日本人の女性だった。彼女が語る言葉はとらえどころがないものも何かを感じるものもあり。そして「目覚めればベルリンに帰っている」という彼女の最後の言葉に、戦時中ベルリンで行方不明になった自分と同じ名を持つ天才ピアニストの祖母を思い出す。その後謎の猫に導かれ気がつけば第二次世界大戦中のドイツ・ベルリンにスリップする希梨子。彼女は祖母を助けようと手を尽くすが・・という流れ。
音楽関連と戦時中の歴史と当時のドイツの情勢のある程度の知識が乏しい私にはちょっと難解なお話でした。雰囲気とか話の流れとかはとても良いし、専門的な要素を省いてもそれなりに楽しめる秀逸な作品なのですが。知識があるともっと楽しめたかなあと思ったわけで。
主人公の女性も、あとで合流する主人公を慕う後輩も、タイムスリップという特異な状況でもうろたえないというかあっけらかんとしているというところが印象的でした。もうちょっと驚いてもいいもんですが器がでかい(笑)かなり緊迫した状況とその割りにのんきな主人公たちの対比が絶妙。
いろいろな要素を詰め込んだカルトな話ですがそう感じさせない雰囲気もうまいなあと。漫画でも読み応えがあったけどじっくり原作も読んでみたくなりました。

原作:奥泉光 / 漫画:望月玲子
講談社コミックスDXkiss全2巻 / 講談社
ジャンル:女性・ファンタジーミステリ / 好み度:★★★☆☆