ブラック・ラグーン 広江礼威

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タイに存在する都市ロアナプラ。背徳の都市に住まう、違法も行う運び屋ラグーン商会や三合会、ロシアンマフィアといった裏社会の組織の人物達が織り成すハードボイルドアクション。
日本の商社社員・岡島緑郎は機密ディスク運搬の仕事の際、運び屋ラグーン商会にディスクを奪われ自らも拉致される。ディスクの機密漏れを恐れた商社側は傭兵を雇い緑郎もろともラグーン商会の抹殺を図る。それをきっかけに緑郎は出奔、ラグーン商会のメンバーとなる。・・というはじまり。
物語の舞台となる都市ロアナプラは架空の都市。背徳の名にふさわしい爛れっぷりな街。そこで発生する事件とそれに関わる暗躍する非合法組織の面々の策謀と行動と活劇がメイン。
エピソードを通して、表の世界から裏の世界へ入った、ホワイトカラーの青年・緑郎(ロック)をはじめとする街に住む面々のドラマも展開されていきます。緻密かつ重厚、テーマもきちんと提示されている濃密かつシビアなハードボイルドアクション。
容赦のない展開はリアルでもありえそうな話でもあり。流麗な絵によるガンアクションや破壊描写、スタイリッシュというかハードボイルド的魅力を感じる会話シーンは秀逸の一言。
このタイトルの特徴は、一にも二にも登場人物のほとんどが饒舌、というところでしょうか。どのキャラも語る語る語る(笑)。ここまでのネームを考えられるのってすごいなと読むたびに思います。
中篇並みのページ数で1つのエピソードを綴る構成。すっきりしない終わり方が多いですが、読後感は悪くなく問題提起を示したまま終わるのはある意味リアリティがあるともとれるかな。
いろんな意味でかなり突っ込んだエグい描写もありますがかっちりした絵柄のせいかさほど嫌悪感は沸かず。テーマがしっかりしていてそれらのシーンに意味があることを示せば良作になるということか。
登場人物のキャラ設定がそれなりに現実味があり、かつ聡明で魅力的というところが個人的なツボどころでした。
この作品に出てくる女性は、男性作家が描くそれとはちょっと違った像を結んでいるのも印象に残っています。女の愚かな部分のみならず女性特有の強さもきっちり描いているというかんじ。

広江礼威
サンデーGXコミックス1~ / 小学館
ジャンル:青年・アクション / 好み度:★★★★★