男子のどうしようもない青春の一ページなど、童貞観溢れる鬱屈した心情を淡々と描いた短編集。
夕焼け集団リンチ・告白・どうにもならない夜・路上・奪われた童貞・合コンの後ファミレスで・セックスにはもう飽きた・時をかける男を収録。
表題作は、主人公たちがリンチに招集された一幕を描いた話。普段からイキッた同級生がリンチに人数を集めると友人から聞く。主人公が行く義理もないが周囲が行くなら・・とか考えたり、リンチ現場もまあグダグダだったり、しょぼいけどありそうな結末とか、気骨があるわけでなく茫洋と生きる思春期男子の雰囲気が印相的。
短編は面白いなと思うものとオチ投げっぱなしかいと思うものとか今ひとつかなと思うのとかいろいろ。各作品のあとに著者のあとがきっぽい文章がある。他ではこういう文章があると興ざめ感があるのだが、この作品集ではこのあとがきがいい味出してて、作品自体が好みでなくてもあとがきが興味深かったってのもままあった。
最後の時をかける男は、まんま映画化もされた某小説のパロディ。タイムリープの鍵の設定とか茫洋としたというか淡々と進む雰囲気が印象深い。パロディとしても秀逸だと思う。著者の独自の作風はなんとも言えない感慨が残る話が多い。
古泉智浩
ビームコミックス全1巻 / エンターブレイン
ジャンル:青年・青春コメディ / 好み度:★★★☆☆