この世にただひとり・青味泥・木立・unber雪女・天気予報は・赤目エイドリアン・少女アソートを収録した著者初の百合漫画作品集。
この世にただひとり
表題作。田舎を舞台にしたお話。幼少期は野山を駆けまわるタイプだったが大きくなるごとに周囲の女子と合わせた遊びをしていた少女の前に、快活で粗野、いろんな意味で裏表のない養蜂家の娘が越してきた。周囲には浮いていたが主人公は彼女が好きで彼女も自分を贔屓していることが秘かな誇りに。そんな二人の田舎での交流を描く。野山を駆けたり意外な一面を見て心臓が高鳴ったり、楽しい時は過ぎて別れの時が訪れたり。次の物語が始まる終わり方は素敵。
青味泥
変わりたい女子と変わりたくない女子の話。百合らしい百合物語といったかんじ。短編もあって雰囲気で読むタイプ。著者の作風が最も出ているとも感じた。
木立
土木業の父に仕事に誘われるも拒否し続ける、演劇活動を続ける女性には、男装の麗人がよく似合いそうな体育会系の幼馴染みがいる。ちょっとしたきっかけで主人公は幼馴染みに化粧をしてドレスアップさせそれを鏡で当人に見せるが。好きな演劇と対極の土木業に誘われている女性と、体育会系で女ッ気がないと自覚していたのに家の事情で夜の仕事に就かねばならない女性。対比と相似を巧く物語に組み込んで読み応えがあった。
urbane―雪女―・天気予報は
雪国を舞台にしたお話。舞台が同じ話なのでまとめて。現代設定の等身大な物語だが詩的な雰囲気も醸し出している魅力を感じるお話だった。
赤目エイドリアン
カメラマンの卵の女性とヌードモデルの女性の話。好きな相手というか人間関係が良ければそこはいい職場なんよね。しみじみ。
少女アソート
シリーズというか連作。お金持ちのお嬢様は、綺麗な箱に詰めたショコラのように気に入った可愛い少女のパトロンになっていく話・・でいいのか。エスプリを感じつつも貴族っぽい偏った発言は吃驚するけど可愛いよな。そして同意(笑)主人公と投資された少女とはwinwinな展開なので大いに良し!執事さんに関してはスタッフサービスのCMが思い出される(笑)なんのかのとこのシリーズが一番楽しかった。
藤たまき
ひらり、コミックス全1巻 / 新書館
ジャンル:百合・ドラマ / 好み度:★★★★☆