直野儚羅著作のボーイズラブ短編集3件。
泥棒と初恋(バンブーコミックス 麗人セレクション) 直野儚羅
高校の同級だったおじさん二人の少し不思議(SF)要素を入れたすれ違いからの両思いカップルを始めとし、おじさんのうちの受が経営するカフェで働く青年と彼の高校時代の先輩の話、彼らと縁のある画材屋の青年と10歳年下の幼馴染みの話。同じ世界観でなんのかのと縁のある面々による各々のカップルの話で、過去の出来事と恋慕を引きずっていた面々が再会によって再燃する愛が主題のよう。BLとしても申し分ないが物語のギミックというか巧みに織り込まれた構成が実に好みだった。ほんと物語もBLシチュエーションもドストライクで楽しめました。ただ、君らひとの作品盗みすぎではとツッコミを入れたくなりましたが。まあ題名に泥棒ってあるからいいのか。★★★★
魔法使いの涙 (バンブーコミックス 麗人セレクション) 直野儚羅
魔法使いの涙・魔法使いの失敗は、幼少時から無鉄砲で何度も死にかけた少年とそのたびに彼を助けるおじさんの話。少年はファーマーのおじさんにベタ惚れなのだが、彼は実は稀代の魔法使いで、少年は記憶が無かったが実は何度も死んでおりそのたびに魔法使いのおじさんが生き返らせていた・・という設定。重大な伏線は読者側にはなんとなく想像がつくが話のオチ的に(というかBL展開になだれ込むきっかけに)それが判明する構成が良かった。同時収録は恋とお化けの育て方・無知とお化けのしつけ方・SEACRET NEWSなど。ちょっと変わり種の設定の退魔ものとリーマンもの。初見当時は等身が高く筋肉質な絵柄に若干慣れなかったがBLにしろ物語にしろ表現力の高さに魅了されていった。あとキャラの幅が広いよね。BL独特の甘い雰囲気もあるが甘すぎて直視できない一歩手前の匙加減な作風が好き。★★★★
裏腹とジレンマ (バンブーコミックス 麗人セレクション) 直野儚羅
古本屋勤務の小柄メガネの西田と、同居人とのトラブルで宿無しとなった店の常連の大学生・開の話。成り行きで西田が住むボロアパートに間借することになった開だが、というはじまり。西田の住まいはボロだがアパート一棟まるごと借りているし同じ店子の二人は西田の友人、というより従者っぽい印象を受けるが案の定、西田はわりとやんごとなき(とは違うか)人だったという展開。ちなみに西田×開。BL描写は初見ではちょっと珍しい絵面だったっけ。現代劇でも一捻りあり、BLとしてだけでなく恋愛ものとしても読み応えがあるソツのない構成が好き。健気に頑張る開にちょい悪要素もある西田の設定と描写が萌える。同時収録はパワーオブラブ!・プリーズギブミー!・饒舌な指。ちょい悪おじさんとと純粋高校生の話と事故で耳が聞こえない青年と小説家の話。どの話もきっちりと設定を作りそれを最大限に活かした物語の構成が良かった。もちろんBL描写も安定の秀逸さ。★★★